助手席にピアス
いつまでもクエスチョンマークを飛ばしている私の様子に気づいた桜田さんは、あきれ顔をしながら腕を組んだ。
「はぁ? なにって、お前こそなに言ってんだ? まさかお前、琥太郎くん以外の男に本命チョコを贈るつもりじゃないだろうな?」
「琥太郎以外に本命チョコをあげる人なんかいません!」
これじゃあ、琥太郎のことが好きだと宣言したも同然だ……。
桜田さんの口から琥太郎の名前が飛び出して動揺した私は、つい、声を荒げてしまったことを後悔した。でも桜田さんは、バツの悪い顔をしている私をからかうことなく、口もとに笑みを浮べる。
「自分の気持ちに素直になることが一番だ。いつか伝えようとと思っていても、そのいつかが訪れない時もあるんだぞ」
桜田さんはきっと早百合さんに、もっともっと伝えたい言葉があったのだろう。
桜田さんの言葉が心にスッと染み入った私は、誰にも打ち明けられなかった不安な思いをつい口にしてしまった。
「桜田さん。実は私、お正月に琥太郎から告白されたの。でもあの時は、まだ自分の気持ちに気づいてなくて琥太郎の告白を断っちゃって……。もしかしたら琥太郎はもう、私のことなんか好きじゃないかも」