助手席にピアス
朔ちゃんが、いつものようにクスッとではなく「あはは!」と大きな声をあげて笑うから、私はムスッと唇を尖らせる。
「笑い事じゃないんだから! 琥太郎ったら、ちっとも私の気持ちに気づいてくれないんだもん」
「そりゃしょうがないよ。琥太郎は一度、雛子ちゃんに玉砕しているんだから」
それを言われると、返す言葉が見つからない。
「はぁ」と大きなため息をつく私に向かって、朔ちゃんは笑顔から一転、真面目な表情を浮かべた。
「雛子ちゃん。なにかを待っているだけじゃダメだよ。運命を変えたかったら自分から行動を起こさないとね」
「……うん」
朔ちゃんの言葉は、人に甘えてばかりいる私の心を大きく揺さぶった。
食事を終えると朔ちゃんは私の希望通り、ベイエリアにある観覧車に連れて来てくれた。列の最後尾に並ぶと子供のように、今か今かと順番を待ちわびる。
そして、とうとうその時が訪れ、朔ちゃんにエスコートされながら観覧車に乗り込んだ。
上京してから六年が過ぎようとしているけれど、こんな大きな観覧車に乗るのは初めて。しかも、朔ちゃんと一緒だなんて夢のよう……。
ワクワクしながら眼下に広がる景色を、夢中で眺めた。