猫に恋する、わたし

背中に突き刺さる視線。

恐る恐る振り向くと、さっきまでの笑顔はどこにいったのか、険しい顔で彼がわたしを睨んでいる。

声に出さずとも、彼の言いたいことは分かっていた。




放課後、わたしは誰もいない教室に呼び出された。

夕焼けのオレンジ色に染まった教室は、なんだか幻想的で昼間と少し違って見える。

告白するならこの場所が定番化しているのも納得。

彼は窓際の一番後ろの席で壁にもたれながら、ブラックフードを被って目を閉じていた。

夕日の光で長いまつげが影を落として、彼がいつもよりも増して輝いて見える。



わたしはしゃがみ込んで、彼の寝顔を見上げた。


やっぱりかっこいいな。

ずっと眺めていたいぐらい。






ふいに、彼が目を覚ました。

わたしがいることに気付くと、天使だった寝顔が嘘みたいに、苦虫を噛み潰したような顔でわたしを見下ろした。






「見てんじゃねえよ、ブス」








< 2 / 104 >

この作品をシェア

pagetop