嗤うケダモノ

「ナニがー?
ナニかイイコトあったー?」


(ナニかって… 先輩が…)


悪戯そうに弧を描く由仁の目を 日向は至近距離で見つめた。

なんてヤツだ。

ナニも言わなかったのに。
全部気づいてて。
事を荒立てるコトもなく、放送一発、即解決。

ほんと、スゲぇヤツだ。


「ハイ、おかげさまで。
ありがとうございました。
スゴい威力ですね、先輩の『オネガイ☆』。」


日向は心底感じ入った声色で、もう一度ハッキリ感謝の言葉を口にした。

途端に由仁が笑みを深くする。


「でショー?
俺のおねだりを聞いてくれないのは、杏子さんと樹と百合くらいだもん。
‥‥‥ヒナはどーカナ?」


「へ?」


「ヒーナ、オネガイ☆
このままキスして?」


「…
っ??!!/////」


湯気が出そうなほど真っ赤になった日向は、慌てて由仁から手を放して飛び退いた。

近っ?!
まじで近っ?!

ナンデコーナッタ?

って、私のせいか─────!!

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