嗤うケダモノ

ある天気のいい休日。

もう昼前だと言うのに、日向はスウェット姿のままベッドに転がっていた。

悩みがあるンデスヨ。
恋に悩むオトメなンスヨ。

そんな色気のないカッコで、恋とか言ってンなって?

ほっとけ。

対象はもちろんあの男。
久我由仁。

一緒に過ごすようになってから 色々な彼を知った。

例えば、遠回しな優しさ。

あの煩悩まみれの言動も、コッチが凹んでる時やナニカ気に病んでる時などに多発している気がする。

憂鬱な気持ちをほぐすように。

例えば、大人な気遣い。

ナニも言わなくても、心を見透かしたように先回りされる。
そして、時に見守られてたり。
時に手を差し伸べられたり。

実に自然に、スマートに。

例えば、繊細なビジュアルにそぐわない豪胆さ。

九尾のコトを聞いてみた時も、

『人柱力じゃなかったの
実は、俺が九尾になったのー
(割りとどーでもよさげ)』

なんて彼は笑っていた。

ソコ、笑うトコじゃねーよ。
些細なコトどころか、重大なコトにもとらわれてねェよ。

大胆不敵すぎンだろ。

例えば…

‥‥‥挙げるとキリがナイ。

なんつーか… その…

好──き──だぁぁぁぁぁ!!!

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