嗤うケダモノ
そう言えばさっきの情報にも、樹の影が見え隠れしていた。
どうやら立看板を書かせるための綿密な罠に、知らず知らずのうちにガッツリかかっていたようだ。
だが…
それでも構わない。
唇を歪めて苦く笑った由仁は、軽く肩を竦めた。
「乗った。」
「フハハハハ。」
勝ち誇ったように笑った樹が指をパチンと鳴らすと、すぐさま実行委員たちが巨大な紙と筆と硯を持ってくる。
ナニコレ?
そんなコトまで仕込み済み?
用意周到すぎてヤベぇよ。
てかナニ?
その笑い方。
キャラが迷走しててヤベぇよ。
「おフザケはナシだ。」
「ヘイヘイ。」
樹に軽く頷いて、由仁は渡された筆を両手で握った。
上靴を脱いで紙の上に立って。
筆を墨汁に浸して。
精神統一…
「うゎ… まじか…」
見る間に書き上がっていく文字と、ソレを書き上げていく由仁の姿に、日向は小さく感嘆の声を漏らした。