嗤うケダモノ


擦りきれた畳。
趣味の悪い派手な衝立。
フカフカとは言い難い布団。

気がつけば、見たこともない薄暗い和室。


(あれ?
ココ… ドコ?)


首を捻ろうとした日向は、重大な事実に驚愕した。


(身体が動かない…)


って、嘘ぉん。
そんなバカな。

でも、どんなに頑張っても顔の向きも変わらないし。
腕も上がらないし。
指一本動かせないし───?!

ナニコレ?
ナンデコーナッタ?

確かさっきまで部室にいて、吉岡先輩と女子会してて、上から箱が落ちてきて‥‥‥


(箱だ…)


日向はその時初めて、自分がその箱を持っているコトに気づいた。

さっきとは違い、真新しい。

だが間違いなく、ロッカーの上から落ちてきた秘密箱だ。


「おまえ様。」


動かないハズの身体が勝手に動いて勝手に喋りだし、日向は再び驚愕した。

どうやらこの身体は、自分のモノではないようだ。

自分ではない女の中に、ちょっとおジャマしているような不思議な感覚…

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