嗤うケダモノ
肆
擦りきれた畳。
趣味の悪い派手な衝立。
フカフカとは言い難い布団。
気がつけば、見たこともない薄暗い和室。
(あれ?
ココ… ドコ?)
首を捻ろうとした日向は、重大な事実に驚愕した。
(身体が動かない…)
って、嘘ぉん。
そんなバカな。
でも、どんなに頑張っても顔の向きも変わらないし。
腕も上がらないし。
指一本動かせないし───?!
ナニコレ?
ナンデコーナッタ?
確かさっきまで部室にいて、吉岡先輩と女子会してて、上から箱が落ちてきて‥‥‥
(箱だ…)
日向はその時初めて、自分がその箱を持っているコトに気づいた。
さっきとは違い、真新しい。
だが間違いなく、ロッカーの上から落ちてきた秘密箱だ。
「おまえ様。」
動かないハズの身体が勝手に動いて勝手に喋りだし、日向は再び驚愕した。
どうやらこの身体は、自分のモノではないようだ。
自分ではない女の中に、ちょっとおジャマしているような不思議な感覚…