嗤うケダモノ

ん? 待てよ?

じゃ、自分の身体はどーなった?
ドコにいっちゃったの?


「これを。」


混乱する日向をよそに、女は持っていた箱を誰かに向かって差し出した。

女が見ているモノは、日向にも見える。

目の前にいるのは若い男。
時代劇なんかで見る、町人の格好をした男。

しかも、頭には髷。



髷、て… ナニ時代?

視界に入っている女の服装も着物のようだ。

しかも、赤い。



え? まじでナニ時代?

髷の男が手を伸ばし、女から箱を受け取る。


「なんだい?」


「指切り。」


ふふふ、と笑いながら女は答えるが、ソレを聞いた男は目を見開いて呟いた。


「馬鹿なことを…」


ワケわかんね。

ナンデ指切りが箱に入ンの?
指切りのナニがバカなの?

会話も状況も、全くわかんね。

ダレかー、教えてー。

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