嗤うケダモノ

だけどネー?
なのにネー?

ソレを許さない女がココに…


「ジーンー?
ナニやってンだーい?」


異常に優しい声。
振り返れば、異常に笑顔のオカーサマ…

って、ナニソレ、コワい?!

こめかみに青筋立てて、頬をヒクヒクさせて、尚且つ笑顔の美人とか、まじコワい?!

あまりの恐怖に、日向を捕らえる由仁の腕が一瞬緩む。

その隙に杏子は日向の手を掴んで引き寄せ、無事に彼女をケダモノから救助した。


「ヒナちゃんは私と同室だよ。
アンタみたいな猛獣と一緒の部屋に泊まらせるなんざ、気持ち良く送り出して下さったヒナちゃんのご両親に顔向けできないだろ。」


「えー?
ソレ、ナンテ生殺しー?
ヒナ、コッチおいで。」


「『おいで』じゃナイよ。
絶対許さん!」


頬を膨らませる由仁。

知ったコトかと言わんばかりにそっぽを向く杏子。

日向は二人に挟まれて苦笑していた。



いや、苦笑じゃないよネ?

目を丸くしていた仲居サンSがまたもやコソコソ話し出したが、もうこれっぽっちも気にならなかったンだから。

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