嗤うケダモノ


広いよ。

掛け軸や活け花が飾られた床の間がある、畳の部屋があって。
セミダブルのベッドが2台並んだ洋室があって。

和洋室ってヤツだよ。

しかも、大浴場があるクセに、部屋のバスルームも豪華だよ。

夜になれば、大きな窓から都会にはない星空が拝めるハズだよ。

こんな宿泊スペースに一人ボッチとか、寂しすぎマセンカ?

このステキすぎる環境を、すぐ傍にいる愛しのバニーちゃんと分かち合えないとか、ヒドいと思いマセンカ?

てか、このシチュエーションでバニーちゃん食えねェとか、あり得ねーンじゃねーデスカぁぁぁぁぁ??!!


(絶対、隙を見て掻っ攫ってやろー。)


鬼ババは仕事があるしー。
時間もたっぷりあるしー。

Let′s ポジティブシンキング☆

荷物を置いて一通り室内を見回した由仁は、スッカリ上機嫌になっていた。

とりあえず… どーしよ?
まだ日は高いし…

旅館探検?
土産物屋巡り?
いきなりひとっ風呂浴びちゃうか?

ナニをするにしても、日向がいなくちゃ始まらない。

隣の部屋にいる彼女を、今すぐ迎えにいかなくちゃ。

由仁は明かり取りの磨りガラスがはめられた洒落た客室ドアを、鼻唄混じりに開けた。

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