嗤うケダモノ


夕飯は豪華で美味しかった。
温泉も開放的で気持ちよかった。

もちろん湯上がりで火照ったバニーちゃんは、むしゃぶりつきたくなるくらい可愛かった。

なのに、おあずけ。

隙を見て掻っ攫うどころか、キスすらままならない。

杏子と言う名のガード、強靭すぎ。
フラストレーション溜まりすぎ。

このままナニもなくバカンス終了とか、あり得ねェよ。

明日こそ。
明日こそは、必ず…

一人ぼっちの寂しいベッドの中、由仁が煩悩剥き出しの強い決意を抱いて夜は更け、そして明けた。


『ヒナ、起きてる?
一緒に散歩行こー』


目標達成への記念すべき第一歩。

由仁は身支度を整えてすぐ、日向にメールを送った。

昨夜は空狐とガッツリ呑んでたし。
それでなくても、朝は弱いし。

杏子が朝食前に起きているハズがない。

てか、朝食時間に起きてくるかどうかもビミョーなレベル。

ガードが全く機能しなくなるこの時間帯、逃す手はねェだろ。


(俺ってば、知能犯ー☆)


『知能犯』ってほどもヒネりのない思いつきにニンマリしながら、由仁は日向からの返信を待つ。

手の中でバイブレーション。
日向専用の着信音。

早朝お散歩デートへ、Let′s go☆

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