嗤うケダモノ
一抹の…いや、多大なる不安を残しながらも、杏子はまとめておいた荷物を手にする。
行って、事実を確かめるのだ。
「大人しく待ってンだよ。
帰ってきたら、頭ガリガリ掻いてフケ飛ばしながら、謎を解いてやるから。
ジッチャンの名にかけて!」
拳を固めた杏子が、高らかに宣言した。
って、ソレ…
元祖と孫がドッキングしてンじゃねーかよ。
それに、どーぞご安心クダサイ。
こんなグダグダな作文書くヤツに、複雑なトリックや高尚な謎なんてヒネり出せっこねーから(泣)
「大丈夫じゃ。
サスガに命の危機が迫ったら、儂が助けてやるぞい。カッカッカッ」
小さな胸を精一杯反らした空狐が、笑いながら杏子を見送る。
「安心してクダサイ!
先輩は、私がちゃんと守りますから!」
ファイティングポーズをとった日向が、大きく頷きながら杏子を見送る。
頼りになるねェ、お二人さん。
フワフワしてて、気紛れで、頼りになりそうもないバカは…
「ねー、杏子さん?
ついでに、コレも調べてきてー。」
いつも通りの軽ーい口調で、杏子と日向が目を見張るようなコトを口にした。