嗤うケダモノ
漆
宣言通り、『一緒にいよー』は実行された。
昼前に杏子が旅館を出てから、ず───っとベッタリ。
二人で土産物屋を回って。
二人で蝉の脱け殻集め競争をして。
二人で例の神社跡地に行って、探検して。
心霊現象には遭遇できなかったものの、イタチを見つけて、追いかけて。
二人で旅館に戻って…
二人密着状態で、あーん、なんて言いながらゴハンして?!
半ば強制的に、二人一緒に部屋のバスルームでお風呂してェ?!
一つのベッドで二人一緒に寝てェェェェェ??!!
(寝てェェェェェ??!!
って… ほとんど寝てねェよ…)
明け方、まだ薄暗い時間に揺り起こされた日向は、掻き集めたシーツで裸の肩を隠しながら眠い目を擦った。
今日は黄色い太陽を拝めそうだよ。
なのに、この男は…
「好きだよ、ヒナ… あ、言い間違えたー。
おはよ、ヒナ。
起きて。着替えて。
最後の探検、一緒に行こー。」
なんでそんなに元気ナンダ?
てか、その言い間違いはナンナンダ?
ソレよりナニより…
最後の探検って、ナンナンダ???
しなやかな肢体を惜しげもなく晒し、上半身を起こして妖艶に微笑む由仁を、日向は恨めしそうに見上げた。
あんなに激しい夜を過ごしたのに、いつにも増して艶っぽいとか…
まじムカつく。