嗤うケダモノ



清司郎くん


突然いなくなって、ごめんね

まぁ、意外と近くにいて
私はあなたが毎日ピーピー泣いているのを
見てたワケだけども

ごめんね

なんとか旦那様に認めてもらおうと
頑張ってたンだけど

そうも言ってられなくなっちゃった

実はね…
私のお腹に赤ちゃんがいるみたいなの

心から嬉しいわ
清司郎くんも、喜んでくれると信じてる

でも、旦那様は許してくださらなかった

この子を
なかったコトにしようとしている

だから、ごめんね

次に旦那様がココに来た時
隙を突いて逃げ出すことにしたわ

もうサヨナラです
清司郎くんとは、二度と会わない

でも、旦那様を恨まないでね

清司郎くんはまだまだ若くて
あなたを心配する旦那様の気持ちもわかるの

だからと言って
自分を責めたりしないでね

私たち二人共、配慮が足りなかったね

私が好きになった清司郎くんは、純粋な人
コドモみたいに、綺麗な心を持った人

だけどもう、泣いてちゃダメ

泣き止んで、前を向いて、大人になるの
そして、幸せになるの

私のコトは心配しないで
この子と一緒に幸せになるから

いつか
いつか

大人になった清司郎くんと
成長した私たちの子が

笑って会える日が来るコトを

信じてるわ


                 千鶴子



< 465 / 498 >

この作品をシェア

pagetop