嗤うケダモノ
(…ハっ
まさか…)
助さん格さんの代わりとして、ご隠居の気まま旅に同行しろという意味では…
「失くしちゃいかんぞ。
肌身離さず持っておるんじゃ。
ソレは、儂と繋がっておる。」
あ、違った。
とりあえず一安心。
でも、繋がってるとはナニゴトか。
不思議そうに手の中の印籠を弄ぶ日向に、空狐は優しい眼差しを向けた。
「困ったコトがあったら、ソレに向かって儂を呼べ。」
「へ?」
「由仁は、儂が思っておったより大きな男じゃった。
しっかりした母親も、理解ある友人もついておる。
無論、ヒナちゃんもな。
儂はもう必要ないじゃろ。
ソレはまぁ… 保険かの?」
カッカッカ、と空狐は笑う。
いや、笑ってっケド、ソレってつまり…
「…
オジーチャン…
ひょっとして、ドッカ行っちゃうの?
先輩と杏子さんは知ってるの?」
日向は少し眉根を寄せて、不安そうに訊ねた。
すると、途端に空狐が渋い顔になる。
「言ってはおらんがの…」