嗤うケダモノ

「ねー?ヒナー?
聞こえてるー?」


「ぅっきゃきゃきゃぁぁぁぁぁっ??!!///」


突然耳に入ってきた呼び掛けに、日向は奇声を発して飛び上がった。

ドキドキする胸を押さえて振り返れば…


「どしたのー?
ユーレーでも見たよーな声、出しちゃって。」


キッチンの入り口に、首を傾げた由仁が立っていた。

あー… うん。
ユーレーは見てないケド、全身猥褻物は見てるなう。

例によって胸元はガバっと開いているが、小千谷縮の着物の下にはちゃんと襦袢も着ていて、決してだらしないワケではナイのだが…

なんだろね?

その頽廃的且つ圧倒的な色気は。

ほんと、心臓に悪いよ。

いやいや、ソレはさて置き。

『聞こえてるー?』
ってコトは、何度も呼ばれていたのだろうか。

妄想トリップしている姿を、見られていたのだろうか…


「…
先輩、いつからソコに?」


別の意味でドキドキしてきた胸をさらに強く押さえながら、恐る恐る日向は訊ねた。


「んー?
ヒナが顔を真っ赤にして、一人できゃーきゃー言ってた時からー。」

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