嗤うケダモノ

え? ナニ?
このコ、元気じゃね?

てか、え?
気にしなきゃなンないの、ソコじゃなくね?


「…
ヒナ、監禁されてンだヨネ?」


『え? 監禁?
まぁドアは開きませんし、三階だから窓から出るのも難しいですケド。
でも縛られてるワケじゃないし 連絡手段も手元にありますし。
軟禁でしょうかね、コレ。』


「‥‥‥
君の肝の据わりっぷりに、俺は恋する乙女になりそーデス…」


『寝言は寝てから言いやがってクダサイ。』


吐き捨てるような棘のある声が由仁の耳に突き刺さる。

まじで冷てェな、このコ。
イイ加減、凹ンじゃいマスYO!



いや、違うな。
今の彼女には余裕がないンだ。

冗談に付き合っていられないほど。
自分の置かれた状況を憂いてすらいられないほど。

責任感が強く、優しい彼女は…


『先輩、お願いします。
お願いばっかで、本当に申し訳ないンですケド。
アキのコトも、助けて下さい。
お願いします…』


切羽詰まった悲痛な懇願。

親指で唇をなぞった由仁は、目を鋭く細めた。

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