嗤うケダモノ
「ヒナを置いて逃げるワケねーじゃん。
もーちょっと俺を信用してよ。
でもって、俺を頼ってよ。」
尖った唇から漏れる由仁の囁きに、日向が瞳を揺らす。
「でも… 私のせいで…」
コレ以上迷惑をかけたくない。
そんな日向の思いを読み取ったように、由仁が肩を落として溜め息を吐く。
「迷惑なんかじゃねーし。
イヤなら放っとくし。
ヒナの、そーゆーダレかに依存しない生き方はカッコイイと思うケド、俺にダケは寄りかかって欲しーっつーかさぁ…」
「は‥‥‥ へ?」
言われている意味がサッパリわからず、日向が髪を揺らして小首を傾げる。
彼女の不思議そうな表情を見つめた由仁は、もう一度深い溜め息を吐いた。
「わかってないみたいだネー。
ほんっとバカだヨネー…」
「‥‥‥ナンスカ、ソレ。
どーゆー意味」
「ハイハイ。
とりあえず、平和的な解決方法を模索しよーよ。
君の友達、話せるらしーし。」
バカを連発されてぷぅっと頬を膨らませる日向の言葉をうんざりした様子で遮った由仁は、アキのようでアキじゃない生き物に視線を移した。