嗤うケダモノ

いつの間にか、アキの両親のようで両親じゃない生き物たちまで、後ろに控えている。

三人で異口同音に呟きながら。

んー…
ほんとに会話できる?

その単語しか喋れないなんてコト、ないヨネ?


「どーも、どーも。
ちょっと聞いてクダサーイ。」


内心不安になりながらも、由仁はニコヤカに切り出した。


「帰ってイイっスか?
このコも連れて。
アンタらも、人間はジャマでショー?」


呟きがピタリと止まる。

どうやら言葉は通じるみたい…


『ニンゲン… チガウ…
ニオウ… キツネ キツネ…』


「ハイ?」


…通じてナイみたい?

一人で話し出したアキもどきに微笑みを向けたまま、由仁は首を捻った。

ナニ? ソレ、俺のコト?

いやぁ…
帰りたいって言ったダケなのに いきなり人間であるコトを否定されちゃうとは思ってなかったナー…

まぁ、どーでもイイか。

とりあえず、もう一回お願いしてみる?
帰りたいって。

ソコは却下されてないワケだし…

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