嗤うケダモノ

『ナワバリアラシ… オヤダマ…
マッテタ マッテタ…
ユルサナイ… ワタサナイ…

コロス コロス コロス
コロス コロス コロス…』


あらら。
却下されたわ。
てか、抹殺宣言されたわ。

『ナワバリ』、ね。

どうやら日向たちはコックリさんで、なんらかの霊の呼び出しに成功してしまったらしい。

居心地がよかったのだろうか。
彼らは帰るコトを拒否し、ココに居座るつもりだったのだ。

なのにナニカが『ニオウ』由仁と日向がやって来て、彼らはソレを『ナワバリアラシ』と断定した。

たぶん、そーゆー流れ。

『キツネ』は意味不明だケド。

窓際に立つ由仁と日向に向かって、ジリジリと距離を詰めはじめたアキもどき。

またも同じように『コロス』を連呼しながら、アキもどきに追従する両親もどき。


「平和的解決はムリみたいー。
こうなったら、強行突破しかないネー。」


日向の身体を解放しながら、由仁は彼女の耳元で囁いた。

さりげなく足を一歩踏み出し、日向を背に隠す。


「強行突破って…」


か細い声と、小さな手の感触。

振り返ると、腕に縋りついた日向が大きな瞳を揺らして由仁を見上げていた。

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