嗤うケダモノ

「アキは友達なんです…
オジサンもオバサンも、いつもあんなんじゃなくて…
そのー、だから…」


「‥‥‥フっ」


こんな場合ではあるが、由仁は思わず笑みを漏らした。

さっきは俺だけを逃がそうとして、今度は友達の心配?

自分のコトも考えよーよ。

こんなだから、放っとけない。


「だいじょぶ、だいじょぶ。
ケガさせたりしないから。
三人まとまってくれてるし、あの布団被せて押し倒しちゃって その上踏んで帰ろっかー。」


「先輩、天才っス!」


床に落ちた掛け布団を指差した由仁が白い歯をみせてニヒヒと笑うと、日向は目を輝かせてブンブン頷いた。

あー… そう?
踏むのはいいンだ?

そりゃ、ケガはしねーだろーケドさ。

由仁が長い足で布団を蹴り上げ 素早く両腕に抱える。


「んじゃ、ヤるよー。
いち、にの…」


掛け布団がフワリと広がり、アキたちの不気味な顔が目の前から消える。


「さん!」


由仁と日向が、布団に覆われた三人に向かって走り出す…

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