【完】白衣とお菓子といたずらと
ヤバイ。今度は俺が緊張してきてしまった。


微かにだけど聞こえてくるシャワーの音が、俺の緊張をひたすらに煽ってくる。


いい歳して何でこんなにも緊張してるんだか。もちろんそれなりに経験はあるはずなのに、初めてかのように、ガチガチになってしまっている。


こんなんじゃ、いざっていうときに、彼女に男らしいところを見せられる気がしない。


ただでさえ、今まで弱い部分ばかり見られている気がするのに。




――ガチャ


浴室の方から聞こえた音に、ピンと背筋を伸ばした。


ゆっくりと浴室の方を見ると、まだ彼女は俺から見える場所にはいなかった。


そうだよな、たった今までシャワーの音が聞こえていたんだ、まだ脱衣所に移動しただけに決まっている。


考えれば分かる事なのに、緊張のせいなのか、うまく頭が回転していない。


一気に肩の力が抜けた。


けれど、脱衣所にいるということは、もうすぐここに戻ってくる。


そう思うと急に落ち着かなくなり、そわそわとじっとしていられなくなった。


携帯を手にとっては、テーブルに戻して、また手にとってを繰り返し、落ち着きを取り戻そうとした。


この行動自体が挙動不審で落ち着く気配が無い事だって十分に分かってはいる。けれど、他に方法が思いつかないのが現状だ。
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