【完】白衣とお菓子といたずらと
俺の不躾な視線が気になったんだろう。


「そんなに見ないで。乾かし辛いから」


「ごめん。ついね」


なぜか目が離せなかった。ふわふわと香ってくるいつもの美沙と違う俺と同じ香りが、麻薬のように俺の頭をボーっとさせる。そして、惹きつける。


……触りたいな。ふと、そんな事が頭に浮かんだ。


「俺に続きはさせて」


美沙の返事は聞かずに、彼女からドライヤーを奪い取った。


俺の行動をじっと見つめたあと、今の状況がやっと飲み込めたのか、美沙が急にそわそわし始めた。


「え…でも……」


「いいから、前向いて」


どうすればいいのか困っている美沙を強制的に、再び鏡のほうを向かせた。


そして、ドライヤーのスイッチを入れ、勝手に髪を乾かし始めた。


見た目以上に彼女の髪は、さらさらで凄く滑らかな肌触りだった。


ロングでストレートな髪は綺麗に染められていて、普段から手入れをしていることが覗える。


あーあ、しまった。彼女が泊まるんなら男物のシャンプーだけじゃなくって、彼女用のものを用意しておくべきだった。気がまわらなかったことに後悔した。


明日にでも彼女と買いにいこうか、そんな事を考えながら、徐々に水気の無くなってきた髪に、温風をあて続けた。
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