【完】白衣とお菓子といたずらと
「……あれ?もしかして、ご飯作ってくれた?」


部屋に入っていく途中、キッチンで彼女は足を止めた。


というか、足を止めていたのは一瞬で、質問しながら匂いに誘われるようにコンロの方に方向転換した。


「うん、美沙が疲れて帰ってくると思って。寒いし、鍋にしたよ」


「わーい、礼央さん流石ー」


俺の話を聞きながらも、彼女の手には既にミトンが装着され、鍋の蓋を開け中身を確認している。


相当お腹が空いていたんだろうという事が、優に見て取れた。


「少し温めてくるから、向こうで休んでて」


「うん、ありがとう」


待っているように促すと、ニコニコとキッチンを後にした。


さてと、さっさと準備するか。


――カチッ


2人で早く食事をするために、火を点けた。


ご飯が終わったら、彼女にあれを渡そう。美沙のために、今日用意したあれを。
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