【完】白衣とお菓子といたずらと
いざ食事を目の前にすると、彼女はあまり会話する事なく黙々と食べ続けた。食べる事に全神経を集中させているような感じだ。


付き合い始めて、こうやって一緒に食事をするようになって気づいたけれど、彼女は本当によく食べる。


リハスタッフは女も男もよく食べるから飲み会でコース料理を頼むと料理が足りなくなると、池田たちが嘆いていたのを思い出した。美沙を見て納得した。


日によっては、俺より食べている日もある。よくこの食欲で、この体系をキープできるよな。美沙は、もう少し肉をつけていいくらいに痩せている。


そしてなにより驚くのが、食後のデザート。食事の後に、必ず何かしらのデザートを食べる。


お陰で、ウチの冷蔵庫にもプリンやらゼリーやらが常備されている。冷凍庫にはアイスも。


もう彼女と2人で暮らしていると言っても誰も疑わない状態になっている。


日を増すごとにここが彼女の場所の様になってきている変化が、嫌ではなくて、むしろ嬉しい。


「……さっきからニヤニヤして、気持ち悪い」


プリンを食べている手を止めて、彼女が怪訝な顔をしながら言った。


とても美味しそうにたべる姿を見ながら、考えていたら、つい頬が緩んでいたらしい。


それにしても、気持ち悪いってひどいな。自分の彼氏に向かって。


でも、彼女は俺といるときだけこういう暴言……毒を吐くことが最近分かってきた。だから、今のもちょっと嬉しかったりする。


俺も彼女にとことん惚れているな。
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