【完】白衣とお菓子といたずらと
朝から緊張しきっていた俺は、既に精神的に疲弊していた。


待ちに待った訪問者が訪れたのは夕方のことだった。




――コンコン


気を抜いていた時に鳴ったノックの音に、ピンと緊張の糸が張り詰めた。


「失礼します」


扉が開く音と共に、スッと爽やかに耳に届く綺麗な声が聞こえた。


……彼女だ。


ベッドをギャッジアップした状態で外を眺めていた俺は、慌てて扉のほうへと視線を移した。


下は紺色、上は真っ白な白衣を着た彼女が目に映った。


表情は、残念ながらよく見えなかった。


扉を静かに閉めると、ほとんど足音もたてずに彼女はベッドの方へ近づいてくる。


それと同時に、ドクリと俺の心臓が大きく跳ねた。
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