【完】白衣とお菓子といたずらと
「今日から担当します、理学療法士の小川美沙です。山下さん、宜しくお願いします」
他の患者さんに挨拶するのと変わりないように、俺にも挨拶をする彼女。
彼女が作る壁を感じて、正直……寂しい。
「よろしくお願いします」
だから、俺もよそよそしく返事をした。
小川さんは俺の頭からつま先までジーっと視線を動かしている。
その行動に緊張がますます高まった。
「リハビリするので、ベッド倒してもいいですか?」
彼女が見ていたのは、俺の姿勢だったらしい。
起こしていたベッドが気になったみたいだ。
「ごめん、ごめん。今戻すから」
「あっ、大丈夫です。私がします」
俺がベッドのリモコンを探していると、ベッド柵に掛けてあったリモコンを俺より先に小川さんが手に取った。
歩いて回り込むでもなく、腕を伸ばして俺の上体を越えて。
俺にはスローモーションで見えた。
彼女の綺麗な顔が目の前を横切っていく様が。
ちか……近いから。ドキドキと俺の鼓動が早くなるのを感じた。
聞こえていませんように!そんなの格好悪すぎるから。
1人心の中で祈った。
他の患者さんに挨拶するのと変わりないように、俺にも挨拶をする彼女。
彼女が作る壁を感じて、正直……寂しい。
「よろしくお願いします」
だから、俺もよそよそしく返事をした。
小川さんは俺の頭からつま先までジーっと視線を動かしている。
その行動に緊張がますます高まった。
「リハビリするので、ベッド倒してもいいですか?」
彼女が見ていたのは、俺の姿勢だったらしい。
起こしていたベッドが気になったみたいだ。
「ごめん、ごめん。今戻すから」
「あっ、大丈夫です。私がします」
俺がベッドのリモコンを探していると、ベッド柵に掛けてあったリモコンを俺より先に小川さんが手に取った。
歩いて回り込むでもなく、腕を伸ばして俺の上体を越えて。
俺にはスローモーションで見えた。
彼女の綺麗な顔が目の前を横切っていく様が。
ちか……近いから。ドキドキと俺の鼓動が早くなるのを感じた。
聞こえていませんように!そんなの格好悪すぎるから。
1人心の中で祈った。