【完】白衣とお菓子といたずらと
『……やっぱり、そんな反応すると思った。明日の昼には帰るから、詳しくは帰って直接話すね』


「……分かったよ」


なんで大阪にいるのかとか、聞きたいことが出来たけれど、その機会はまた明日らしい。


俺が聞く前に先手を打たれた形になった。


『みさみさ、そろそろ順番だぞ『はーい、行きます。ごめん、礼央さん!電話切らないといけなくなったから。ちゃんと明日帰るから。時間は後からメールするね。じゃあ、飲み会楽しんで』


――ツー、ツー、ツー


……切られてしまった。


今、電話の奥から聞こえた声は気のせいだっただろうか。いや、あれだけはっきり聞こえたんだ。美沙に声をかけてきたのは……男だった。一体誰なんだ?美沙との関係は?


一瞬の会話だったけれど、2人が親しいのは何となく伝わってきた。


美沙は、何のために、誰と大阪にいるのだろうか。


自分ではどうしようもない“嫉妬”という名の、ドス暗い感情が沸いてくる。


結局、今の電話で分かったことは、美沙が大阪にいること。男が一緒だということ。そして、明日には帰るということ。


明日話してくれるとは言っていた。話すって、一体何を?聞くのが……恐い。
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