【完】白衣とお菓子といたずらと
変わりない日々に悶々としていた頃、小川さんとの距離を縮める突破口が突如現れた。
リハビリ開始からちょうど2週目に入った日の出来事だった。
「では、今日のリハビリは終わりましょうか」
「あぁ、ありがとう」
いつものように俺の病室に訪れ、リハビリを終えた。
よいしょ、と年寄り臭い声を出しながら、ベッドから降り彼女は立ち上がった。
彼女の動作を眺めていた俺に、ベッド脇においていたあるものが目に映った。
あっ、そうだ。
「小川さん、甘い物食べれる?」
帰ろうとしていた彼女の背中に向けて声を掛けた。
「……好きですけど……?」
それが何か?という顔をしている。
今の言葉だけじゃ何か分からないよな。
ベッド脇にあった紙袋を掴み、彼女に差し出した。
「これさリハの香坂が買ってきてくれたんだけど。俺、甘い物たくさんは食べられなくてね。もらってくれないかな?」
女の子なら食べるかも。ただそう思って、彼女に渡そうとした。
何も考えずに渡そうとしていたけど、彼女の困ったような顔に余計な事をしたかなと少し焦った。
「……好きですけど、まだ勤務中なので。堂々と廊下を持って歩くわけにもいかないし……」
俺の行動そのものが迷惑なのかと不安に思ったが、今の言葉を聞く分には違うらしい。
なんと断ろうか困っているのではなくて、どうやら食べたいけど貰うわけにはいかないって事で困っているようだった。
眉間に皺を寄せて悩む姿が新鮮で、こんな表情初めて見せてくれる。
リハビリ開始からちょうど2週目に入った日の出来事だった。
「では、今日のリハビリは終わりましょうか」
「あぁ、ありがとう」
いつものように俺の病室に訪れ、リハビリを終えた。
よいしょ、と年寄り臭い声を出しながら、ベッドから降り彼女は立ち上がった。
彼女の動作を眺めていた俺に、ベッド脇においていたあるものが目に映った。
あっ、そうだ。
「小川さん、甘い物食べれる?」
帰ろうとしていた彼女の背中に向けて声を掛けた。
「……好きですけど……?」
それが何か?という顔をしている。
今の言葉だけじゃ何か分からないよな。
ベッド脇にあった紙袋を掴み、彼女に差し出した。
「これさリハの香坂が買ってきてくれたんだけど。俺、甘い物たくさんは食べられなくてね。もらってくれないかな?」
女の子なら食べるかも。ただそう思って、彼女に渡そうとした。
何も考えずに渡そうとしていたけど、彼女の困ったような顔に余計な事をしたかなと少し焦った。
「……好きですけど、まだ勤務中なので。堂々と廊下を持って歩くわけにもいかないし……」
俺の行動そのものが迷惑なのかと不安に思ったが、今の言葉を聞く分には違うらしい。
なんと断ろうか困っているのではなくて、どうやら食べたいけど貰うわけにはいかないって事で困っているようだった。
眉間に皺を寄せて悩む姿が新鮮で、こんな表情初めて見せてくれる。