【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
やはりどこをどう見ても、コイツと『紅』が同一人物には見えない。
コイツが『紅』であるはずがないのだ---
ジロジロとその女を見ながら、そう結論づけた。
いや…、
コイツの長い前髪に隠れている瞳の色を見るまでは、まだ答えを出すには早いか?
俺の手が、女の視界を遮っている前髪へと触れた。
「違うか…」
やはり…、
女の瞳の色は、紅い色ではなかったか。
それは自分でも最初から分かっていたはずなのに、酷く落胆してしまった。
いや、
何故、落ち込む必要がある?
こんな女が『紅』であってたまるか。
すぐに自分の気持ちを切り替えた。