恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
夕方まで私は自分自身の気持ちと向き合いながら、歩き続けた。
“別れ”という響きが頭の中を巡る。
愛しているのに、どうして?
こんなにも愛しているのに、どうして別れなければいけないの?
永遠に慶次郎と一緒にいたいと願っているはずなのに。
鞄の中の電話が鳴った。
「もしもし」
『もしもし。僕だけど』
慶次郎の声を聞いた瞬間に、瞳の中の涙がこぼれ落ちた。
『話したいから今から会える?』
慶次郎も私と同じように、悩んでいる。
そう感じた。
私達は、あんみつの美味しいあの店で待ち合わせた。