恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
他のテーブルは、女性同士喋りながら楽しそうに料理をしていた。
別に、友達を作る為に料理教室に来たわけではない。
美味しい料理を、慶次郎に食べてもらいたいから・・・・・・
っと、だめだな。
また、付き合ってる時のままの脳になってる。
だめだと思いつつも、別れたことを受け入れることができなかった。
べちゃべちゃしたハンバーグが出来上がった。
アップルパイはふたり一組だったので、爽やか好青年君のおかげで美味しくできた。
後片付けをしている時だった。
「お名前、聞いてなかったですね」
そう言って、名刺を私に差し出した。
「川北圭吾といいます。先月から、食品事業部に異動になって、料理を勉強することになったんです」
受け取った名刺に書かれていた社名に驚く。
誰もが知っている大きな商社だ。
「あ、商社に勤めてるんですね」
すぐに社名を見てしまう自分が嫌だった。
と同時に、母の顔が浮かぶ。
この会社だったら、母も大喜びするだろう、なんて。