声が聴きたい


『パンパンッ』と、手を叩く音がして気を取り直した先生が「ほらぁ~、各自自分のやるべきことやれぇ~~」と大声で叫んだ。


しばらくは興奮がおさまらず、俺らはそれを横目にワイワイと勝負の事を話してた。


「キャ--ッ!誰かっ……」和やかな俺らの空気を切り裂くような叫び声が上がった。


一斉に見ると……


女子が水面を覗きながら我を忘れて叫んでる。


その子のすぐ近くの奴らも中を覗いて……


俺は思わず飛び込んだ。が……


一足先に飛び込んだらしい先生が水面から誰かを抱えて上がる……


『ザバァッ!!』と勢いよく上がる水しぶきの中から、グッタリとした誰か……


クラス委員が「職員室に誰か走ってっ!」「養護のせんせ-呼んできて!!」


俺は、和希をマンションの台所で発見したあの夏の日のように、無力なままプールの中に立ち尽くしてた。


大人たちがかけてきて、『あぁ、誰が呼びに行ったんだろ』とかどうでもいいことを考えてた。


溺れたのは隣のクラスの女子で、中で足がつってしまったようだと、後から聞いた。









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