声が聴きたい


暑い室内に居たせいか、体は熱を持っているようだったが、顔色は真っ青で近くに手紙らしきものと一万円札が数枚散らばっていた。


「……はい、マンションの3階になります、はい、分かりました、体を……はい、お願いします」


母さんは救急車を呼んだみたいだった。


俺は落ちてる手紙とお札を拾い集めた。


母さんはどこかにあったタオルを濡らして首筋などに当てていた。


「優一、今から救急隊員の人がここにくるから、それまでは和希ちゃんのこと、動かさないようにして、体を涼しくしてあげるわよ、そうね……家中の窓、玄関を開けて風をいれてきてくれる?」「うんっ、わかった!」俺は今までにないくらいの俊敏さで家中の窓を開けて回った。


締め切ったままだった家の中にサワッと風が吹き込み、少し室温が下がった気がした。


希美花叔母さんは……居なかった。


母さんは手足にも塗れタオルをのせたりしながら拾い挙げた手紙を読んでいるみたいだった。

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どのくらい待っただろう、開け放たれた玄関の向こうに数人の足音が響いた。






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