例えばここに君がいて
13.もつれた糸はどうすれば
家に帰ると玄関に迎えに出てきたのは妹のルイだ。
「おにーちゃん、お帰りー。ルイになんか言うことあるでしょー」
「ねぇよ」
俺はむくれたまま靴を脱ぎ、そのまま廊下を突っ切る。するとルイは横から抱きついてきた。
「お礼とかあるでしょー。どうなったの。……ってか、クサイ!」
「お前っ、自分から抱きついてきたくせに失礼だな!」
「だって、うわ、汗臭っ。だめだー、お兄ちゃん、爽やかさに欠けてる」
運動をする現役高校生はこんなもんだよ!
「ああもう、うるせぇな!」
ジャージとTシャツを一気に脱ぎ、洗濯機に突っ込む。
その間に、ルイは二階の俺の部屋に行ったらしく、部屋着にしているジャージを持ってきてくれた。
「裸で歩くのやめてね、お兄ちゃん。女の子がいる家なんだから」
「誰が女の子だよ。お前はまだガキっていうんだ」
「お兄ちゃん……。もてないでしょう」
ルイは怒り出すどころか憐れむような目つきで俺を見た。
やめろよ。それのほうがよっぽど傷つく。
「着替えるからあっち行ってろ」
「わかってるよう」
ルイが階段を上って行くのを確認してから、ついでにシャワーを浴びるため浴室に入る。