例えばここに君がいて

 超絶長いシャワーを終え部屋に戻ると、何故か俺のベッドの上でルイとイッサがいちゃついている……もとい、背中合わせになって俺の漫画をそれぞれ読んでいた。

ルイが大声で笑うと、イッサがクスリと微笑む。別の話を読んでいるはずなのに、まるで感情さえもつながっているような双子。
羨ましいよ。お前らには分かり合えないなんてことはないんだろうな。


「あ、お兄ちゃん、やっときた」


ルイの方が俺に気づき、ぱたんと本を閉じる。イッサの方は漫画に視線を向けたままだ。


「なんだよ。二人共でてけ」

「まあそう言わない言わない。で、どうなったの。サユねーちゃんとは」


無視して黙っていると、あからさまな溜息が聞こえてくる。


「どうしてここ一番で押さないのかなぁ。お兄ちゃんって根性無いよね」

「お前っ、口が悪いにも程があるぞ」

「だってぇ。ほぼ告白したような状態だったのに。ね? なんで嫌なの? フラれると思ってるの?」


率直さは良いことだけじゃないんだぞ。

そんなこと小学三年生に言ったって仕方ないとは思うけど、言いたい。
簡単に好きとか言えるほど、俺たちはもう子供じゃないんだ。



< 105 / 237 >

この作品をシェア

pagetop