トマッタ時計
「おはよー」

朝の挨拶が飛び交う中、遅刻ギリギリで私は教室へ入った。

「おはよー、音々」

「あーおはよー」

「また寝坊?」

「あっ、バレた?」

「当たり前でしょ」

いつもと同じ朝で、いつも通りの学校。

でも、一つだけ違った。

それは、

「・・・なんか言いたそうだね」

「気づいた?」

そう、中学に入った時から仲の良い侑李の様子。

「なんでそんなに朝からニコニコしてんの?」

基本何かしらいいことがあると、侑李はニコニコする癖がある。

「あのね・・・。ちょっと耳貸して」

「なになに?」

私は机から前に身を乗り出して侑李に耳を近づけた。

「彼氏・・・できた・・・」

「え!?マジ!!」

「しー!!音々声でかい!!」

「ごめん。で、誰?」

「あれ?」

「ん?」

侑李の指を指した方を見ると、侑李が一年の時から格好良いと言っていた男子だった。

「よかったじゃん!」

「うん!」

「で、どっちから?」

「向こうから・・・」

「マジで?」

「うん。こないだ体育祭あったじゃん?で、音々が競技に行ってた時なんだけど、一人で応援席に座ってたらたまたま向こうも一人で、で、二人で話してたらメアド聞かれて・・・」

「そんなん初耳なんですけど・・・。で?」

「で、それから連絡取るようになって・・・」

「で?」

「で、昨日一緒に帰ろって言われて、一緒に帰っとる時に告白された・・・んだ」

最後に顔を真っ赤にして俯いた侑李の顔は恋をしている女の子の顔だった。

「男前だね!最近の男子って感じなのに」

「でしょ?まさか直で告られるとは思ってなかったよ」

「だね」

「だね!」

「そこ二人うるさいぞ!」

いきなりの怒鳴り声に二人してビックリした。

いつ入ってきたのか分からない担任が嫌そうな顔をしてこっちを見ていた。

クラスメイトの様子を見るところ、どうやら私たちは自分たちの世界に入っていたみたいだ。
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