キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
視線が絡み合い、蘭さんの手が火照った頬にあてがわれる。


ドクン、ドクン……

激しさを増す鼓動だけが聞こえ、私は彫刻のように動くことも、目を逸らすことも出来ずにいた。



──けれど、その先に何があるでもなく。

ふっと微笑んだ蘭さんはふいに手を離し、ゆっくりと立ち上がる。



「お腹空いただろ、夕食の時間だ」

「……あ、はい……!」



あっさりと冷えていく頬に、ホッとしたような残念なような……
なんだろう、この不思議な気持ちは。



「あの、蘭さん──っ」

「ん?」



部屋を出ていこうとする蘭さんを、私は反射的に呼び止めていた。

何故だか、離れがたくて。



「私、もっと蘭さんとお話したいです」

「……僕も。今夜は眠くなるまで話そうか」



ドキドキしながら素直な気持ちを伝えると、彼はふわりと微笑んでそう応えてくれた。








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