キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
おもむろに立ち上がった蘭さんは私に近付き、乾かしたばかりの私の髪を一束掬う。

髪に神経が通っているかのように、私の身体はビクッと反応した。



「……君は綺麗だな」

「え……?」

「何にも汚されてないだろう、心も身体も」



蘭さんの言葉の意味をなんとなく理解して、私は熱くなる顔を俯かせた。

何でわかったんだろう……。



「全然男に免疫がないって感じがする」

「……よくおわかりで……」

「君みたいな子は初めてだよ。
……大切にしなきゃな」



独り言のように呟き、ふっと口元を緩めた蘭さんは、私の頭を優しく撫でて離れていく。

彼から漂う上品で淡いフローラルの香りと、私の心に温かい何かを残して。


< 4 / 69 >

この作品をシェア

pagetop