小春日和
 


それはダメでしょう。だって家の庭には、お約束のように「ベン」「ジョン」「サンダー」という名前の、立派なドーベルマンが3匹、既に飼われている。



ベン達は外なのに、後から来た子を家の中で飼うなんて、ベン達を裏切るみたいで、そんな不義理なことはできませんって言って、ペットショップの人には申し訳なかったけどお引き取り頂いた。



だからちゃんと断っておかないと、明日には大量の蛍とともに猛さんが帰宅しそうで怖い。



『やっぱり蛍は、ああいった自然の中にいてこそ、美しいんですよね』



だけど猛さんの甘さを舐めてました私……。



きっちりとお断りして、更には念まで押したから大丈夫って油断してたんだ。




数日後―――



「明日、別荘に行くから一泊する用意をしておけよ」



『……え?』



金曜日の夜だと言うのに、普段からは想像もつかないような七時という早い時間に帰宅した猛さんが発した言葉に、暫し呆然とする。



ポカンと見上げる私に、猛さんの後ろに控えていた龍二さんが、苦笑しながら詳細を説明してくれた。



それによると、猛さんは県内県外に複数の別荘を所有していて、その内の一つに明日の朝から泊まりがけで遊びに連れて行ってくれるそうだ。



………なぜ?



 
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