大好きで大嫌い 《完》

*side shu

♡SIDE SHU♡



「ごめん、愁ちゃん、霞を呼んで来てくれるかしら?ご飯出来たから。」


「あ、はい。」


俺は霞の部屋の前にたどり着いてドアノブに手を掛けたけど、開けれなかった。


「うっ・・・ ふぇ・・うう・・」


微かに聞こえる霞の泣き声。


また泣いてる・・


小さい頃から泣き虫。


それから、何も聞こえなくなったからゆっくりドアを開けた。


寝てる。


霞の寝てるベットまで行き、座った。


涙と泣いた後が残る霞の頬。


優しく拭う。


「霞・・」


小さくて可愛らしい唇。


長いまつ毛。


ほんのり赤い頬。


小さい顔。


誰が見ても、美少女と言う。


学校でも霞は注目の的。


高2だけじゃなく、俺のいる高3も皆霞の事を狙ってる。


分かってんのか?


こいつ。


俺が中学の時くらいからかな


霞が急に可愛くなり始めた。


自分では気が付いていない、それが霞。


それなのに、昔みたいに「愁ちゃん、愁ちゃん」って寄ってくる。


正直、俺だって我慢に限界がある。


だから同じ学校に通っているにも関わらず、俺は霞が学校へ行く前に家を出る。


出来るだけ避けた。


俺は昔から霞が好きだった。


でも、こいつは俺の事を絶対お兄ちゃんとしか見てない。


可愛い寝息を立てる霞。


でもいつかは手放さなければいけない


いずれは霞にも男が出来る日が来るだろう。


この唇も全部そいつの物になる。


そう思うといても立ってもいれなくなった


その時、


「ん・・好きだよ・・愁ちゃん・・」


一粒の涙が頬を伝う。


え。


今、こいつなんて?


俺の事・・・好き?


嘘だろ。


ーーー


気が付くと俺は霞にキスをしていた。


優しい触れるだけのキスを。


そして呟いた。


「俺も、好きだよ。霞。」


って、何やってんだ、俺は。
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