【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
…………さあ見せてよ、ピカ先輩の正しいディフェンスを。
慧心のスモールフォワードは、ピカ先輩に向かって4つのフェイクを入れて抜きにかかった。
けど、ピカ先輩はかからない。いや、正しくは、全く見ていなかったんだ。
「(ボールと手の甲、ボールと手の甲!で、この手は俺がドリブルばしよるのをスティールするディフェンスの手やけん、俺がドリブルしよって奪われんとこは)………ここだァ!」
奪った、というより、それは元々ピカ先輩が操っていたボールのように、小さな掌に吸い付いている。
「なっ……………!」
「「「なにィィ!?」」」
慧心ばかりじゃなく、今までピカ先輩がディフェンスが苦手なのを知っていた水高の部員や、由貴先輩、あろうことか行雲先輩までもが驚きの顔を見せる。
「たまげたー!これなら絶対出来る!椿ちゃんスゲー!!」
ピカ先輩はそう叫びながら猛スピードでゴールまで進んで行く。
「んで、逆転しとこ!」
戻りの早かった慧心のディフェンスをかわす為に、急停止して横っ飛びし、パスを出す先には、ピカ先輩を信じて戻っていた秀吉キャプテン。
「ちゃんと決めてよぉー、見せ場、とっとったとやけんね!」
「ああ、無論、そのつもりだ」
二人が会話を終わらせる頃には、秀吉キャプテンは美しいシュートを放ち、ゴールに背を向けたところで。
スパッ…………!
それは、ゴールネット以外にかすることもなく、それはもう、流星のようなスピードでフロアに落ちた。
水高25-24慧心
ようやくうちの流れで、試合が動き始めた。