【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「おっし!ディフェンス一本!!」



ムードメーカーの行雲先輩が叫び、再びオールコートマンツーマンのスタイルで相手に圧をかける。



だが、ここは去年の王者、慧心。



柏原の目配せで、奥のフロントコートに二人走らせ、手前のバックコートにいる二人はピカ先輩、秀吉キャプテン両名にスクリーンをかけたかと思うと、斜めにクロスするようにダッシュ。



難なくスローインを貰い、自分達のボールを守った。



やっぱり侮れない。上手いし、去年から強豪校と多く戦って来ただけに冷静だ。



だが、下手にピカ先輩のついているフォワードにボールを回したら、さっきみたいに取られかねないと判断したのか、まんべんなくパスを出し、行雲先輩がマッチアップしたフォワード選手へボールが渡る。



「折角掴みかけた流れや!打たすかっ!」



バッチィィィン!!



行雲先輩の決死のスティールが決まり、ボールが外に飛ぶ。



しかし、この位置でそのままスローインになったら危険な距離だ。



「っ!絶対出さない!!」



俺は地面につく前のルーズボール目掛けて一目散に走り、爪先に力を込めて飛ぶ。



手にボールの感触を感じたら、そのまま中の行雲先輩へ弾く。



その勢いのまま、体は体育館の壁へ飛んだ。



ってうわ……………!!



目の前に広がるボコボコの壁に、目を瞑る。



バァァァン!!



「椿ちゃあああん!!」



聞こえたピカ先輩の叫び声と、頭へ感じる衝撃と、激痛が身体中を駆け巡る。



その衝撃と激痛で、体が起きない。
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