【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
荒商ディフェンスがスイッチして、俺の相手はガードの選手ではなく御劔に。



相手はピカ先輩の複写だと考えろ、俺。



そうなれば、苦手コースと動きの予測を考えて。



「こっちだ!」



きっとこの県大会で1on1を真っ向から挑んで来る者はいなかったのだろう。御劔は楽しそうだ。



「甘い!やっぱり兄貴より凄いんはいない!」



「それはどうかな。1on1は俺も得意でね」



抜くためにフェイクを挟み、左に動いた俺を御劔の長い腕が捕らえる。



俺はぐるん、と左足一本でターンしそれをかわすと、後ろ手でピカ先輩にパス。



「オッケー!一本いただきまっす!」



だが、荒商も次の一手を予測済み。



ピカ先輩に二人つき、残りの三人は三角形の陣形を組み、オフェンスを圧迫。



俺達の得意とする、トライアングルツーのディフェンス陣形の応用だ。



「ゾーンなら外!…と行きたいとこだけど、今はインサイドしか強くないのね、うち」



ピカ先輩はそれを気にすることなく抜き去り、三角形のゾーンに突っ込む。



「ヨイショ!!」



ぴょこっと飛び上がりシュートを無理矢理打とうとするのを、三角形が捕まえる。



「なんちって!」



「!!!」



だがしかし、ピカ先輩はショットを放たず、届かないくらいに高く、前方にボールを放った。



それを押し込むのは…。



「オラァ!やっと出番じゃ!」



空中の騎士、行雲先輩。



ダンクとまでは行かなかったが、誰よりも高い打点に飛び上がり、そのゴツゴツだが繊細そうな白い指先で、ボールの軌道を修正する。



水高37-22荒商



最強の駒達は、荒商に勢いを掴ませない。
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