【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
堪らず、荒商がタイムアウトを取る。



「よしよし!みあがらんと、こんまま攻めろ!」



「センセー元気ぃ。もう俺疲れたばぁい」



後半からのピカ先輩も、身長差のミスマッチからか消耗が激しく、大量の汗を噴きながらドリンクを飲む。



俺やピカ先輩は身長と体力のハンディに苦しめられているのも事実。



「小鳥遊、あちらも動いてくるぞ」



バテて動くのもしんどかった俺に、秀吉キャプテンがドリンクとタオルを持ってきて呟く。



まるで、父親が子供にするかのようにタオルでわしゃわしゃ、と髪の毛を拭かれ心地良い反面、テーピングを施された右手がチクチクと刺さる。



相手のベンチを見ると、監督の風貌をしていたベンチの選手を取り囲み、作戦を立てているようだ。



「あの男は中学時代に御劔と同期で期待されていたポイントガードだ。膝の故障でバスケは辞めたと聞いたが…こんな形で会うとは」



「要注意ッスね。慧心の時の俺みたいに、ベンチからサインで司令塔として参戦してくるよ。俺も負けらんねー」



俺の返事に、表情は変わらなかった秀吉キャプテンだけど、テーピングでガチガチの右手で膝をぽんぽん、と叩く。



「お前に任せたぞ。勝ちを、掴め」



「はい。だって、インターハイ決勝戦、決勝点を、秀吉キャプテンに決めてもらわなきゃいけないんすからね」



タイムアウトが終わり、両陣営、再びコートという戦場へ。



「ピカ先輩、まだへばんな。うちも真っ向勝負だよ」



「もちっ!」



相手がどう来ようと勝つ、絶対に。
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