【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
それは、息を飲むような、光景。



多分、勢いのあるオフェンスをかました行雲先輩が『次はお前んオフェンスの番じゃ!』なんて叫んでたから、槐がオフェンスで。



ビッとボールを投げ渡した行雲先輩が、ディフェンスについた途端。



槐はただの一歩も動かなかった。



くん、と細長く、女性並の腰つきの下半身をまるで、シルクが織り畳まるような柔らかさでしならせ、飛び上がった。



左利きなのか、普段見るフォームとは違ったそれは、滑らかに、けれど、止める隙もなくボールを放つ。



秀吉キャプテンの精密機械みたいなシュートとは違う、柔らかなシュートモーション。



そのボールは回転することなく、さわさわと吹く夜風に乗り、ゴールネットをスパッと潜った。



「…………な!」



これが………全国制覇を遂げた凌華学院高校の、シューターの実力。



「………スッゲェ!悔しかばってん、鳥肌立った!」



「そちらこそ、なんてバネ。御劔はんやけではおまへんやないか。あの雑誌、信用出来まへんね」



うちだけじゃない…どの学校を取っても、スタープレイヤーばかり。これが、全国。
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