【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「「「「ありがとうございました!」」」」



全てのプログラムを済ませ、旅館からバスに乗り込む時が来た。



凌華学院の部員と監督はわざわざ見送りに来てくれて、お互い整列をし、挨拶をする。



「小鳥遊君、ちびっと」



「あ、ハイ」



おじいちゃん監督に手招きされ、俺は整列から外れ、そちらに向かう。



「君達の課題は見えたんやか?」



「はい。…この短期間で、どれだけ解決に近付くか分かりませんが」



その答えに、おじいちゃん監督はニッコリ笑い、穏やかな顔が皺でくちゃくちゃになる。



「君にもうひとつ、勝ち進む為の、アドバイスをあげまひょか」



その声は、どこまでも穏やかなようだけど、妙な重みでどっしりとのし掛かる。



「確かに水前寺はとてつもあれへん凄い選手ん集まった、全国かてなかなかないおもろいチームや。やて、全国で鍵になるんはきっと、君と……彼や」



そのしわしわの指の、指差す先にいるのは…爽やかに微笑む、有ちん先輩。



「彼ん心底にねるモンを起こせんかったら、君達はほんまん意味で、強くなれへんやろう」



有ちん先輩の心の奥に眠る何か……。



「ほな、また。今度はライバルとして」



おじいちゃん監督の背中を見送りながら、俺にくれたその言葉を、じわ、じわ、と脳内に染み込ませた。
< 356 / 521 >

この作品をシェア

pagetop