【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「初めて迫田としよった1on1ば見て、こいつは凄かガードになるやろなって思った。予想通り、いや、それ以上に、小鳥遊は凄かった」



それは、広い視野のことか、クイックネスのことか、動体視力のことか、司令塔としてのことか。



おそらく…その全部なのだろう。



自分を過大評価しているわけじゃないけど、謙遜はしない。



視ることと速さは、俺はバスケ部で一番だ。それは、結果として出てること。



「こんな思いでずっとおって、合宿の時、皆と分けられて練習したことで、この気持ちは強くなった。…俺、無力なんやろかって」



それでもいつも笑顔で、スタミナと基礎を誰よりも大事に練習した有ちん先輩。



だけど手に入らない。どんなに頑張っても手に入ることのない、何か誇れる武器。



だけどね…有ちん先輩。



「有ちん先輩がそう思ってるように、俺だって、有ちん先輩に憧れて、嫉妬してるところがある」



ずっと足元を見つめていた有ちん先輩だったけど、俺の言葉に顔を上げる。



「…なんっつう情けない顔してんのさ」




「小鳥遊だって、いっつも生意気そうなんに、ぎゃん微妙な顔」



だってこれから俺、誰にも知られたくない、綺麗じゃない気持ち、有ちん先輩に言おうとしてんだぜ?微妙な顔で当たり前。
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