意地っ張り
お金を置いて帰ろうと
椅子から立ち上がりかけた時、
私の腕を強く引っ張る人物が。
その当人を見れば松本だ。
え?なんでいるの?
『よくここが分かりましたね』
『お前の行動なんてお見通しなんだよ』
私抜きで交わされる2人の会話。
何がなんだか分からない私は
そのまま松本に腕を引かれ
店の出口へ。
後ろを振り返れば、
笠井くんはニコニコ笑い
手を振っていた。
『あのな。お前は隙がありすぎんだよ』
「は?」
『隙があるから、アイツに言い寄られんだろ』
「そんなの、松本に関係ないじゃない」
『あー関係ないね。お前が本気でつき合う気なら邪魔しない』
そうだ。
いつだって松本はこうなんだ。
私に気を持たせるような
行動をするくせに
最後にはこうやって突き放す。
『だけど、お前はそうじゃねーだろ?』
「……」
『だったら、おとなしく俺のそばにいろ』
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