意地っ張り


お金を置いて帰ろうと
椅子から立ち上がりかけた時、
私の腕を強く引っ張る人物が。





その当人を見れば松本だ。
え?なんでいるの?





『よくここが分かりましたね』





『お前の行動なんてお見通しなんだよ』





私抜きで交わされる2人の会話。
何がなんだか分からない私は
そのまま松本に腕を引かれ
店の出口へ。





後ろを振り返れば、
笠井くんはニコニコ笑い
手を振っていた。






『あのな。お前は隙がありすぎんだよ』





「は?」





『隙があるから、アイツに言い寄られんだろ』





「そんなの、松本に関係ないじゃない」





『あー関係ないね。お前が本気でつき合う気なら邪魔しない』





そうだ。
いつだって松本はこうなんだ。





私に気を持たせるような
行動をするくせに
最後にはこうやって突き放す。





『だけど、お前はそうじゃねーだろ?』





「……」





『だったら、おとなしく俺のそばにいろ』




.
< 10 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop