意地っ張り
ん?…今のは空耳?
私が欲しいと思っていた
言葉が聞こえた気がする。
信じられなくて
松本を凝視してしまった。
私の視線が面倒くさそうに
なんだよと呟く松本。
いやいやいや。
なんだよじゃなくて
この男の頭の中は
大丈夫だろうか。
こんな思わせぶりな
言葉を吐かれて
私に一体どうしろと?
まともに受けたらきっと
後からどん底に突き落と
されるに決まってる。
「とにかく。冗談は良いけど、お腹すいた」
『あのなー…。お前、冗談で言ってると思ってんのか!』
「だって、冗談以外になにがあるって言うのよ」
『本気しかねーだろ』
またこれだ。こうやって
いつもその顔で私をだます。
本気じゃないかと思わせ
てしまうその瞳から目が
離せない。
何か言わなきゃいけないのに
頭が真っ白だ。
すると、松本の手が私の
頬に触れ軽く上を向かされた。
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